では前回、ブロードウェイ出演が移民法の厳密化により大変難しくなっている現状をお話ししましたが、そんな中でも出演をはたした私のダンサー仲間たちのたどり着いた方法を解説します。
ユニオンに登録するもっとも近い道〜メトロポリタンオペラ〜
私の周りでユニオンに登録できたダンサーですが、メトロポリタンオペラにまず合格した人が多いです。
メトロポリタンオペラにはそれこそ常時登録ダンサーもいて、そこからキャスティングも決まるのですが、なんせ登録しているのはダンサー、そしてプロダクションはオペラなので、そこで活動するのが自分のダンス人生のゴールだと考えるダンサーは少なく、もっと良い仕事があれば離れていきます。
世界3大オペラの1つですが、ダンサーたちにとっては通過点という感覚のようです。
それに演目もブロードウェイほどロングランでショーをやらないので様々なタイプの人が必要になります。
つまり入れ替わりが比較的速く、オーディションも受かる確率が高いです。
とはいえオーディションも100人規模でダンサーが来て、キャラクターが決まっているためルックスなどでも選ばれるので合格するのは簡単な道ではありませんが。
その利点
ここに合格すればユニオンに登録し、その仲間内に入っていけます。
このレベルのユニオンはアーティストビザで登録ができます。
そして振付家もメトロポリタンオペラで振り付けた人がブロードウェイで振り付けることも多く、その場合は最大のチャンス、ブロードウェイでの出演者も自分の知ってる人を使いたいということで声がかかることがあります。
私の仲間にもこの方法でブロードウェイ出演を果たしたダンサーが2人います。
1人はフィリピン人、1人は日本人でした。
ちなみにこの2人は既にアーティストグリーンカードを持っていてユニオンに登録できたので出演できました。
アジア系の作品が日本人にとってのチャンス
中でもアジア系の作品が来た時がオーディション合格のチャンスです。
「ミス・サイゴン」、「マダム・バタフライ(蝶々婦人)」、「キングアンドアイ(王様と私)」、ディズニーの「ムーラン」などです。
普段アジア人というのはミュージカルオーディションではルックスにおいて不利です。
それも当然、白人・黒人が日本に時代劇のオーディションに侍役のオーディションを受けにくるようなものです。
キャスティングする側もルックス的に無理だと思うでしょう。
しかしアジア系の作品が来た時は最大のチャンス、もともとユニオンにもそんなにアジア人はいません。
アジア人が大量に採用されるチャンスなのです。
まとめ
このようによくテレビで描かれるきらびやかなブロードウェイオーディションにはこのような裏の世界があり、オーディションに受かってブロードウェイ出演!!などという絵に描いたような夢の叶い方、という道は日本人には現実的にありえません。
順序を追って登っていく必要があります。
私のおすすめの方法は
学生ビザ取得>経歴を貯める>アーティストビザ取得>メトロポリタンオペラに合格(アジア系の作品が来た時がチャンス)>ユニオン登録>もっと経歴を貯めてアーティストグリーンカード取得>ユニオン間で人脈を広げブロードウェイに誘われる(アジア系の作品が時がチャンス)
このような方法です。
ちなみに私の仲間の日本人ダンサーはこのような経緯をアメリカ生活で10年かかって達成しました。
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