ではここからは留学してからの話になり、それまでの日本のバックグラウンド、留学した時のビザの取り方、目指すダンスの方向性、大きく分けてステージ系・ストリート系・ミュージカル系とあります。
その中でもストイックにダンスの技術を極めることに人生を捧げたい人、仕事としてお金になる踊りをやっていきたい人など、それぞれ大きな違いがでてくるでしょう。
ダンサー・Aさんの実際の体験談
そこで、ここではアメリカで活躍する1人のダンサー・Aさんの体験談を書いていきたいと思います。
メディアでもよく美談として取り上げられる家族の支援を受け、海外で必死に踊るという(だけの)努力をして成功していく話では面白くないので、反対に逆境の中でもがいて這い上がっていった方のパターンです。
このような公の場では公表できない話も多くありますので名前は匿名にさせていただきます。
Aさんの日本の経歴
ダンスを始めたのは大学時代、ジャンルはモダン・バレエなどのステージ系。
経歴は日本の発表会や自分の振り付け作品をイベントに出したなどです。
コンクールの受賞歴などもありません。
ステージ系のダンスの場合、子供の頃からバレエなどのトレーニングをしていないと無理という印象がありますよね。
しかし大人になってバレエを始めて成功している人は意外と多いです。
私の知り合いのダンサーでも20代でバレエを始めて、現在モンテカルロバレエ団やブロードウェイミュージカルで踊っている人たちがいます。
ダンスというのはどれだけ長くやったかでなく、どれだけ自分でどうやったら伸びるか考えて必死で練習したかで、本当に正しい努力をすれば2年もあればプロのレベルに到達できます。
正しい努力です、つまりがむしゃらに先生に言われたことを聞くだけ、努力するだけでもダメなんですよね、自分の好みと長所を見つけてそれを伸ばす自分なりの練習方法を見つける必要があります。
本当にすごい先生ですと、そのそれぞれの生徒の長所を見つけて、それぞれの練習法を与えて伸ばしてくれる人もいますが。
一番の問題、留学資金
これが一番最初にぶち当たる問題でしょう。
Aさんの場合、ダンスに関しては家族も協力的でなく、アメリカに留学する資金はバイトで貯めてきたと言います。
ダンサー、特にステージ系の方であればご存知でしょうが、ステージ系のダンスは本当に時間もお金もかかります。
ストリートダンスであれば屋外で自分で練習をすることもできるのですが、バレエなどはしっかりした床が必要で、屋外でバレエシューズで踊ればすぐ破れますし、スニーカーで練習すればつま先が伸びないなどの変な癖も付きやすく、ジャンプの時の感覚もかなり違い、良い練習にはなりません。
さらに、こう踊らなければいけないというルールもある程度決まっているジャンルなので、しっかりした指導者が必要になり、必然的にクラスをたくさん受けなければ伸びないということになります。
特に大人から踊り始める場合、それ以外の家賃などの生活費もありますので、普通の人の倍の時間働いてはじめてお金が貯まりはじめるという具合です。
留学資金を貯める時のダンス生活
例としてAさんの日本でのダンス生活
早朝の新聞配達(週6日)>朝のバレエのクラス(週5日)>ランチタイムのレストランのバイト(数5日)>夜にダンススタジオのクラス、もしくは舞台のリハーサル(毎日)>クラス後に残って自主練(毎日)>深夜のバイト(週3、4日)
という繰り返し、深夜バイトから朝のバレエクラスまで睡眠時間が2、3時間しかなく、早朝バイトと重なると徹夜となり、朝のバレエクラスのバーレッスンの時、本当にバーを持って立ったまま寝てしまったと言います。
しかし実際ダンス生活の中で留学するほどの貯金を貯めるにはこれぐらいの生活が必要になるでしょう。
最初の貯金はどれぐらい必要か
Aさんの場合、このような生活で貯金を貯め、1年半ほどかけて80万ほど貯めたと言います。
実際この金額、ダンス学校に留学するとなればギリギリでしょう。
留学手続き
留学手続きは直接海外のダンス学校に問い合わせることができます。
英語ですがこれからアメリカで成功しようというのにこの留学手続きの段階で英語のやりとりに恐れていてはいけませんね。
残高証明
そしてAさんが最初にあたった壁が、この際に残高証明というアメリカで最低半年生活できる貯金があるという証明。
学費、生活費などで日本円で130万ぐらい残高があるという証明が必要になります。
多くのダンサーがそんな貯金はないでしょう。
ぶっちゃけますがこの証明、実は1度だけ証明できればクリアできるので、友人や家族から1日だけお金を借りて口座に入れて銀行で証明書を作り、次の日にお金を返すという方法があります。
最初にかかる費用
留学が決定するとダンス学校であればまず学費として半年から1年分の学費を支払うことになります。
この時点で少なくても50万ほどかかります。
その他航空券等いろいろあり、Aさんの場合渡米した際の残高10万円ぐらいでした。
この貯金が尽きる前に住む場所やバイトを見つける必要があります。
語学学校の場合
ちなみにこれが不可能な方は語学学校で留学しています。
語学学校であれば1ヶ月ごとに学費を払えますので、そこまで貯金を貯めずに渡米できます。
ただしダンス学校のように最初から踊れる環境で渡米するわけではないので、そこから仕事を見つけてレッスン代を稼いでダンスのほうに入っていく別の努力が必要になっていくわけですが。
しかしクラスで学ぶのでなく、自分で練習して技術を磨くストイック方向性のヒップホップで留学する方はこの語学学校の方法の方がいいでしょう。
まとめ
今回はAさんの例を中心に日本でお金を貯める方法を具体的に解説しました。
次回、Aさんの渡米後の生活の話をしていきます。
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