前回オーディション情報の調べ方について解説しましたが、今回はその中でもブロードウェイオーディションの世界の裏話を暴露します。
プロダンサーの組合、ユニオン
アメリカのダンスの世界にはユニオン、日本でいう組合みたいなものがあります。
これは大きいプロダクションで仕事をする時に登録する必要のあるもので、トップレベルのダンスカンパニーやブロードウェイミュージカルなどで仕事をする前に入るよう要求されます。
これに登録しているとダンススクールでもユニオン料金というものがあり、レッスン代が割引されたりします。
つまりこれに登録していることがプロである証明ということになります。
ブロードウェイオーディションの現実
そしてこのユニオン登録レベルのダンサーは人数も少なく、仲間内でつながっています。
ということは仕事なども仲間内で回しているということです。
ブロードウェイミュージカルも当然このような仲間内でキャスティングが行われています。
オーディションが行われる時には9割はすでにキャスティングは決まってるといい、残りの1割のキャストが決まらなかったということがあれば、その1割を埋めるために合格者が出るかもしれない。
ブロードウェイオーディションとは実はそのようなで出演者全員がそこでキャスティングされているわけではないのです。
そのためブロードウェイオーディションを受けると4、5次審査あたりからしれっと入ってくる人がいて、ディレクターとすでに知り合いらしく軽く挨拶し、突然オーディションを受けているダンサーたちの中に加わるダンサーがいます。
オーディションが終わり、ショーが始まってみるとこれらの人たちはやはりショーにキャスティングされています。
つまり、オーディションの時点で既にキャスティングされていたのでしょう。
グリーンカードも必要に
そしてユニオンの中でも種類があり、ブロードウェイミュージカルに出演する際に登録することになるユニオンは最もハイレベルで登録するのが難しく、外国人であれば最もハイレベルの滞在許可証であるグリーンカードがないと登録できません。
つまりアーティストビザでもダメなんです。
運良くキャスティングされてもグリーンカードがないとユニオンに登録できないため、出演できないということです。
私の日本人の友人でキャスティングの話がきたダンサーがいました。
振付家とも知り合いでオーディションなどもなく、いきなり出演しないかと誘われたそうです。
しかしそのグリーンカードとユニオンの問題で出演できず、ブロードウェイのプロダクション側も全面サポートしてグリーンカードを申請したのですが認可されず、ブロードウェイ側もダンサーの友達も諦めるしかありませんでした。
世界のトップのブロードウェイの力も政治の前には無力、プロダクションもダンサーも一緒に仕事したいと思っても法律の壁の前に実現は不可能でした。
まとめ
20、30年も前であればアーティストビザでブロードウェイに出演できた時代、またビザなどなかった時代もあったといいます。
しかし現在は移民法もどんどん厳しくなり、同時にどんどんアメリカは夢がない国になっているというのが現実です。
とはいえこんな状況でも外国人でありながらブロードウェイ出演を果たしたダンサーの仲間たちが私の周りにはいます。
果たして彼らがどのような経緯でブロードウェイ出演までたどりついたのか、それを次回お話しします。
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