みなさんは「運動有能感」を知っているだろうか。
運動有能感は学校体育やアスリートの成長にも深く関わっている。
今回は運動有能感についてわかりやすく解説していきます。
運動有能感とは
運動有能感とは運動が上手にできるという認知を表す「身体的有能さの認知」、
練習したり、努力すればできるようになるという認知を表す「統制感」、
運動場面において教師や仲間から受け入れられているという認知を表す「受容感」の3つの要因によって構成されており、
運動有能感を測る「運動有能感測定尺度」というものがある。(岡沢ら,1996)
なぜ運動有能感が大切なのか
運動有能感が高ければ、運動が楽しいと思ったり、その運動を心の底からやりたいと思うようになる。(岡澤・諏訪,1998)
また、学校授業では運動有能感が高い生徒ほど授業に積極的に参加するということが分かっている。(岡澤・馬場,1998)、
したがって、アスリートや児童生徒が生涯にわたりスポーツに親しみ、実践していくためには、運動有能感を高めるこどが重要です。
どうやって運動有能感を高めるのか
では、運動有能感を高めるにはどうしたらいいのだろうか。
それは、やればできるっ、努力すればできるんだっ、という経験をたくさんさせてあげたほうがいい。
高い目標を持つことは大切だが、小さい目標をたくさん設定してあげて、その小さい目標を達成したら、たくさん褒めてあげたり、認めてあげることが大切である。
つまり、スモールステップである。
例えばサッカーではどうだろうか
スポーツとしてはもちろん、学校体育でもサッカーは幅広い年齢にわたって扱われている。
しかし、サッカーは、ボール操作技能に大きな差が生じることから、うまくない人がゲームに積極的に参加できず、みんなが運動の楽しさを感じることができない。
生涯にわたってスポーツを楽しむためにはこれは大きな問題である。
つまり、運動有能感が高い人と低い人の差が大きいということである。
それを解消するためにはもちろん前述したスモールステップで評価してあげることも大切であるが、
サッカーの技能差を埋めるために、ボールを持ってないときの動きを評価するなど、評価方法の視点を変えてあげることが大切である。
サッカーはボールを持っていないときの方が大部分を占める。
他の球技も似ているが、そのボールを持っていない動きをもっともっと評価してあげるべきである。
まとめ
みなさん、運動有能感の大切さがわかりましたか?
わたしは、学校の先生もスポーツの指導者も運動有能感の視点を取り入れてみたら
指導の幅が広がるのではないでしょうか?
参考文献
岡沢祥訓・北真佐美・諏訪祐一郎(1996) 運動有能感の構造とその発達及び性差に関する研究. スポーツ教育学研究,16(2):145-155.
國嶋義志(2000) サッカーの基礎感覚・基礎技能・個人技能を高める授業づくり. 女子体育,42(9):12-15.
岡澤祥訓・馬場浩行(1998) 運動有能感が体育授業中の生徒行動に及ぼす影響. 体育科教育,46(14):43-45.
岡澤祥訓・三上憲孝(1998) 体育・スポーツにおける「内発的動機付け」と「運動有能感」との関係. 体育科教育,46(1):47-49.
岡澤祥訓・諏訪祐一郎(1998) 「運動の楽しさ」と「運動有能感」との関係. 体育科教育,46(12):44-46.
[…] 話を倉田の指摘に戻す。矢島がチームの一体感に貢献するのは立場的に非常に難しかっただろう。「運動有能感」なる理論がある。すごいプレーができたり、努力が実ったり、監督や仲間から認められたりすると高まるものである。そして、運動有能感が高い人はチームへ積極的に関与するようになると言われている。ただ、逆にこれが低いとチームへの関与が弱まってしまう。 […]