はじめに
世界には様々な宗教が存在しますが、これらの専門的な話をする時、たくさんの宗派や国がでてきてややこしくなり、なかなか理解しにくいものです。
そこでここではそれらをできるだけわかりやすく解説してみたいと思います。
宗教についての認識
今の世の中では宗教と聞くとキリスト教、イスラム教、仏教が思い出されますが、これらの宗教はほんの2千年前に作り出されました。
しかしその前には世界中に散らばる神話というものが存在します。
実はこれらのキリスト教、イスラム教、仏教は世界宗教、神話などは民族宗教と呼ばれ、どちらも宗教です。
インド神話などは、3500〜3000年前の間にその物語が書かれ、その後の2500年前ごろに成立した仏教、ヒンズー教の神はそのインド神話を基にしています。
また日本も古来日本神話というものが存在し、日本の歴史的信仰として存在する神道においては主神は天照大神、現存する天皇陛下はその直系の子孫、現人神とされています。
ではこれらの宗教がどのようにして今の形に至ったのか解説していきます。
宗教の始まり〜埋葬の風習〜
人の歴史において宗教の起源となったのは人が「死について考える」ということを始めた時だと言います。
人は死んだらどこへ行くのか?ということを考えると様々な想像をします。
その結果死者を敬う埋葬という儀式を始めます。
この埋葬の儀式の記録は実に30万年前のものがあります。
スペインのアタプエルカの洞窟から32人分以上の人骨が発見されているのです。
筆記の出現
そして今から5千年前の紀元前3千年に革新的なできごとが起こります。
筆記の出現です。
これにより人々は想像を文字に書き始めます。
それまでの文化から成立した埋葬を初めとする風習、死後の世界の想像を文字に書きまとめ、死後の世界を神の世界として作り出します。
これが神話と呼ばれるものの始まりです。
世界最古の神話
その世界最古のものが現在でも読むことができる「ギルガメシュ叙情詩」を含むメソポタミア神話です。
このメソポタミア神話の成立はまさに5千年前です。
メソポタミア神話にはギルガメシュ叙情詩以外にも様々な物語があり、それがのちに成立した神話や宗教にも引用されているのを見ることができます。
宗教・神話がもたらす効果
これらの神話・宗教は自らの民族を1つの思想のもとに統一する団結効果がありました。
しかし別の一面では神話の中で神というのは王族をモデルとしており、そうすることによって支配者の民族の王たちは自分たちを神と称して神格化します。
支配された民族は神でない下の階級の存在として扱い、人々に絶対の階級構造の意識をすり込みます。
神話にはこのような差別化の目的もあり、それは今日にも残るヒンズー教のカースト制度などに今でも見られます。
また、別の民族と和解・統合されていった場合はその民族の文化も取り入れるので神話も新たに書き加えられます。
メソポタミア神話もシュメール神話、アッシリア神話、バビロニア神話からなっており、それはこれらの民族が統合されていく背景も見て取れます。
聖書の話の基にもなったメソポタミア神話
また面白いことにこれら5000年前に成立しているメソポタミア神話にはキリスト教の聖書や他の神話に見られる物語と類似するストーリーが多数でてきます。
冥界下り
メソポタミア神話の「冥界下り」はキリスト教のアダムとイブの禁断の果実に手をだす話にそっくりで、この話にすでに旧約聖書にでてくる「エデンの園」やイブの前に作られたとされる人間の女性「リリス」もでてきます。
洪水伝説
神々に創造された人類は増え続け、神の1人エンリルはその騒々しいを不快に思い滅ぼそうとする。
天空の神エアは人類の賢者アトラ・ハーシスに警告し、地上の生物を救うために船の設計図を渡す。
アトラ・ハーシスは船を建造し、人々を乗せる。
やがて洪水が襲い、七日間で世界を滅ぼしてしまう。
この話、皆さんも似た話を聞いたことがあるでしょう。
そう、ノアの箱舟です。
このように聖書が編纂される何千年も前からこれらの話は存在していました。
これらの神話のアイデアを集めて編纂されて書かれたのが旧約聖書なのでしょう。
まとめ
このように世界の神話というのは現在では一神教の広がりによりただの物語という区別がされ、宗教とは別のものと考えられています。
これら神話の神も物語のキャラクターというイメージでしょう。
しかし実際は神話である民族宗教も世界に広まるキリスト教などの世界宗教も同じように元は人間の想像から生まれているのです。
そうなると神話の神々と一神教の神というのは何が違うのでしょうか?
どちらも人間が作ったキャラクターなのではないでしょうか?
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