日本では注目されていないアメリカ大統領選に大きく影響したトランプ氏の勝因とは?

昨年のアメリカ大統領選でヒラリー氏とトランプ氏が争い、トランプ氏が勝利しました。

その大きな理由は日本のメディアでは多くはトランプ氏が低所得層を味方につけたから、と報道されています。

私は仕事の関係で平日はペンシルバニア州の田舎の街で仕事し、週末のみニューヨークの家に帰ります。

その投票の決戦日、ペンシルバニア州の田舎の街にいました。

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現地での大統領選への生の声

ニューヨークではトランプ支持者という人はほとんど会ったことがありませんが、ペンシルバニアの田舎の方は家の前に、「ヒラリー派」「トランプ派」の立て札を掲げているので、トランプ派もかなり見かけました。

私の滞在している家は外国人が3人住んでいて、家のオーナーはアメリカ人で部屋を貸しています。

みんな家族のような感じで住んでいるので、移民を追い出そうとするトランプ氏にはみんな反対していました。

しかし選挙当日、そのオーナーは何やら気まずそうに帰ってきて、聞いてみるとトランプ氏に投票してきたというのです。

トランプ氏が当選すると私たち移民はビザが取るのが難しくなり、アメリカをでていくことになるかもしれません。

家族のように暮らす中で私たち3人にとっては裏切り行為のようなもので口論になりました。

そこで聞いたトランプ氏に投票した理由は日本で報道されるものとは全く違うものでした。

アメリカと宗教の関係

そのオーナーが言うにはヒラリー氏はカトリックを嫌っている、あんな人が大統領になれば私たちは差別されるというのです。

正直、初めて聞いた時は何を言っているのか理解できませんでした。

はじめに誤解がないように言っておきますが、ヒラリー氏はカトリックが嫌いという発言はしていません。

トランプ氏がヒラリー氏はカトリックを嫌っているという噂を流したのです。

トランプ氏の戦略

その点でトランプ氏がカトリック派を味方につけたので、トランプ氏のやり方がうまかったと言えます。

これは日本でも少し報道されていましたが、演説の端々に聖書の教えを入れて熱心なキリスト教徒ではないかというイメージを与えたのです。

さらにインターネット戦略を使ってヒラリー氏のカトリック嫌いの噂を流しました。

ヒラリー氏の方はこの問題に全く無関心だったので、一切触れていませんでしたが、この噂を否定していたらどうなっていたでしょうね。

ちなみにトランプ氏はその聖書を所々で読み間違えており、実際は聖書自体読んだことがなかったようです。

明らかに戦略として利用していたんですね。

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アメリカでは教育の根本になっているキリスト教教育

アメリカの教育は日本では想像できないぐらい強く宗教と結びついていて、特にアメリカはキリスト教のカトリック派に作られた国なので、そのカトリック派の影響力はかなり大きいです。

小学校などでも○○カトリックスクールと学校名にもカトリックと付いているほど、その教育を幼い頃から受けます。

その傾向は田舎に行くほど強く、極端な人たちになると世界は神に作られてまだ2000年しかたっていないということを本気で信じている人もいます。

近年ではそのような人たちにより、ケンタッキー州でノアの箱船を実寸大で作ったテーマーパーク「アークエンカウンター」が作られたことも話題になりました。

なぜ田舎にはこのような傾向が強いのか?

大統領選ではニューヨークやカリフォルニアなどの都会はヒラリー氏が勝ち、アメリカの中央の田舎の州ほどトランプ氏が勝ちました。

ペンシルバニア州はギリギリまでヒラリー氏が勝っていたのがギリギリでトランプ氏が逆転しました。

ではこれらの州と中央の州で何が違うのか?

まずニューヨークやカリフォルニアなどは海に面していて外国人や海外の情報がたくさん入ってきます。

そうなると政治に関してもテレビメディアの情報以外の情報も手に入るので、おかしい情報は疑って振り回されず、自分で判断できる人が多くなります。

それに対して田舎の州というのはほとんどが白人で、人との交流の機会というのもあまりありません。

田舎の州では教会が人の交流の場となっている

そうなると人との交流の機会などに教会が利用されるようになります。

結婚相手なども同じ教会内で見つけることが多く、自然と宗教活動に触れることが生活の一部となります。

生活の一部となったものを否定するというのは難しいでしょう。

外部からの情報もテレビやインターネットしかないので情報に振り回されやすい。

そのような外国人が全くいない環境からは、普段交流のない人種に偏見があり、まだ当時の人種差別があったころのアメリカの思想から変化しておらず、白人至上主義などの考えも生まれやすくなります。

現在でも人種差別は当たり前のようにあります

アメリカの州にはいまだに他の人種が入ることを勧めない州がいくつかあります。

私の黒人の友達も世界中を仕事で回っていますが、アメリカのいくつかの州はここは行けないと、といくつかは断っていました。

差別を受けるからです。

このように人種差別、宗教の極端な考えかたはいまでもアメリカで大きな影響力を持っています。

日本のメディアはそのような田舎の州に支社を持っていないので日本では報道されないのは当然でしょう、情報源がないのですから。

日本では都会の支社がある地域の一部のトランプ支持者の声のみが報道されています、田舎の方の声はほぼ見かけません。

しかし地図でトランプ氏の勝った地域を見ると、明白です。

中央の田舎の方の州が圧倒的にトランプ派なのです。

まとめ

日本のメディアの報道する工場労働者の支持を得て勝ったという情報ですが、それもあるでしょう。

しかし実際そういう理由でトランプ氏に投票したと言う人にアメリカで実際に会ったことはありません。

正直、それはそんなに多数派の意見ではないのではないでしょうか?

私はこの宗教を味方につけるという戦略こそがトランプ氏の最も大きな勝因ではないかと思います。

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